アフリカツインにはハザードランプの点灯機能が付いていない。旅先で道路工事などに出くわし停車していることを後続に伝えるような場面も過去に多々あることからこの機能は欲しい。今の互換性を保ちつつ追加する方法を考えてみた。
XR100モタードとかは専用のリレー交換とウインカー回路の一部をショートさせてやれば簡単に実現できるが、アフリカツインにはポジションランプが付いているので簡単にはいかない。
アフリカツインにハザードを追加する場合の問題点
○ポジションランプの問題→ウインカー点灯時とハザード点灯時にOFFになる機構が必要
○ハザード対応ウインカーリレが必要→負荷による点滅回数の影響がない電子リレーを自作する
○操作スイッチの問題→ハザードスイッチの追加もしくはハザードスイッチ付きのディマスイッチに丸ごと交換
第一案 汎用スイッチ追加方式・・・運転時にスイッチが使い辛いが確実。一から作りたい人向け。
1-1 ポジションランプキャンセル+ハザード点灯機能付きウインカーリレーの回路

回路図 クリックして大きくなります。上の表示だと線が正しく表示できないので必ず最大画像で見てください。
回路図は当方では見かけ上は正しく動作しているので公開していますが、ノイズで正しく動作しないとか、逆にノイズを発生させる・・・等精密な計器で測定しないとわからない点もあります。この辺は無視して作っていますので、使用する場合は必ず自己責任のもとで行ってください。いかなる不具合も当方は責任を一切負いません。
ATにもともと付いているウインカーリレーと置き換えます。アフリカのリレーは3端子B・L・Eになっておりそれぞれの記号はBが+12Vの入力、Lがウインカーのパルス波の出力、Eがウインカーリレーのコイル動作に必要な−電源(GND)供給の端子からなります。上の回路に必要な+と−(GND)の電気はここから取れます。
TC4047BPで点滅信号を発振させています。回路図は異なりますがNE555等でも発振させることができます。発振周期は500kΩのVRで調整します。
通常のウインカーの点灯は2SB1016がオペレートします。このトランジスタと4047の回路はATのメインスイッチがONの時は常に動作しています。ウインカー動作を2SB1016でオペレートする理由はそれであり、これをリレーに置き換えると常にカチカチと動作したままになり、早期に機械的故障が生じます。(ページの一番下の方でウインカーリレーとしての動作を説明しています)
ハザード動作はSWをオンにするとまずRL1が動作してポジションランプを消灯します。そしてRL2によってウインカー回路のRとLをショートさせるのと同時に4047で間欠動作させ電源を供給し前後左右4つのランプが点滅します。リレーコイルの近くに付けてあるダイオードの1S1588は、リレーのコイルがOFFになった時に発生する自己誘導起電力でトランジスタを壊さないための対策である。
4047の出力10・11ピンはそれぞれ反転動作してます。つまりピン10がHiの時はピン11はLo、
ピン10がLoの時はピン11はHi という風にC・Rの値で決めた周波数で交互動作します。NPNとPNPのトランジスタを使って仮にウインカー動作とハザード動作を同時に行っても不具合が出ないようにしています。またピン10か11のどちらかだけで回路を構成することもできます。
パワートランジスタやリレーなどは持ち合わせを使用したので、規格を満たしていれば回路上に指定した銘柄のものでなくても構わない。
1-2 ハザード用スイッチ追加
ハザードスイッチ
前に作ったフォグのスイッチボックスにまとめました。
しかーーし、
はじめはこの方法で使用していたんだけれど、スイッチの取り付け具合によって操作するには運転中にグリップを手放さなくてはならないので危ないし使い勝手は良くない。
ハンドルに取り付けれるスイッチを探したらあるにはある(一例にデイトナのヘッドライト用キルスイッチキット)が、アフリカだと取り付けるスペースがない上に、やっぱり運転中の操作に無理がある・・・
ので
第二案 集合スイッチ流用・・・使いやすくハンドル周りも違和感なく自然に収まるのでこちらが実用的かな。
2-1 必要なもの
集合スイッチの問題・・・いろんな車種を見てみたが・・ 最終的にCBR600RRのスイッチを流用
スイッチの流用は困難で右手にある側(セル側)はスロットルワイヤの巻き取り装置が内蔵されているものが殆どのため難しい。アフリカツインのように巻き取りとスイッチが独立していて、さらに加えてハザードスイッチが付いているものはなかなかない。
こうなるとヘッドライトのハイ・ローの切り替え側に付いているものを探してみる。うーんこれもなかなか。コスト削減なのかブレーキレバーのホルダやブレーキ液のマスタシリンダーと一体のモンが多い・・・ちょうど輸入車のFMX650が停まっていたので見てみたら完全独立していてハザードが内蔵されていた。だた輸入車なのでパーツが高いうえに納期がかかるらしい。
で見つけたのが国産のCBR600RRのスイッチ。国産なのでパーツ供給も安定しているし、このスイッチは6000円くらいと安い。
だだしCBR以外にもいいのがあるかもしれない。まあ今回は既に買ってしまったCBR600RRのスイッチを使うということで進めてみる。あと同じCBRでも年式で全然異なるので要注意。一応パーツナンバーを控えておく 35200-MFJ-D01 ※同じ品番でも時間が経つにつれて内部の回路に変更があるかもしれないので、必ず使用前に回路解析は行う方がよいでしょう。
CBR600RR用スイッチ 6405円(2007年10月現時)
あとコネクターはアフリカツインに付いてあるスイッチのものを使います。そんなわけでこのハダード追加はスイッチの交換時期にでも行うとよいでしょう。自分の場合ちょうどヘッドランプの上向き・下向きのスイッチの具合が悪かったんです。
ハザード対応ウインカーリレー
ハザード点灯する場合はウインカーリレーも交換します。38301-MBW-D21 CBR600RRのウインカーリレー 2268円 今回はコレを用意しました。
2-2 集合スイッチの取り外し
まずはスイッチを外しましょう。

スイッチのコネクタにアクセスするまでが大変。シュラウドやタンクをのけて、キャブに繋がっているエアクリをボックスごと外さなくてはなりません。コネクタはエアクリのボックスの下にあります。
タンクはコックをOFFにしレバーを外します。あと燃料ホースや排水パイプも外し、前に押し上げるように外さないと燃料コックの口金がフレームに当たります。
2-3 集合スイッチやコネクタの回路解析(配線チェック)
テスターが必要 できればCBRの配線図も欲しい。
はじめにスイッチの導通検査をします。ただこれはCBRの配線図がないので分からないため。あとアフリカの方もコネクターの端子がどのスイッチに繋がっているかも把握しておく必要があります。
回路的には結構難があった。
まずヘッドライトの問題。もともとCBRは下向きのLoが常についており、これに追加というかたちでHiが点灯する。つまりスイッチはHiのみON/OFFする1回路だ。ハイローのどちらかの切り替え式ではないのだ。アフリカツインに使うには何らかの変換回路の追加が必須。
あとあらかじめ恐れてはいたものの、ハザードのスイッチは単純に内部でウインカーのR・Lをショートさせるものだった。さらにウインカーの動作時にもポジションランプのキャンセル機能がない。根本的に回路の変更が必要(第一案の回路は使えません)。
あとCBRと根本的にコネクターの形状が異なるので、アフリカにもともと付いているスイッチのコネクターを移植するという手間もかかります。
共通
幸いクラッチスイッチのハーネスがアフリカツインと同様に内蔵されていたのはGOOD!また、ハンドルバーに取り付けた時の回り止めが同じ位置なのもGOOD。ハンドルのパイプ径も同じもよう。
コネクター
上がCBRのもの、下がアフリカツインのコネクタ。この時点で全くもって互換性は無い。
2-4 互換回路の製作
コレが今回の回路だ! CBR600RR用集合スイッチ(品番35200-MFJ-D01)をアフリカツインに使う場合の互換回路

↑CBRの集合スイッチの回路の都合上リレーを二個使うハメになりました。あとハザードとウインカー動作時にポジションランプを消灯させるための回路も追加しています。
実際に変換回路を作ります。
変換回路
CBR600RRのスイッチ→アフリカツイン用スイッチの動作とほぼ互換に保つための回路を組みます。基本部品だけでできますので特定ICのように廃盤になっても何とかなります。回路も基本回路なのでシンプルこの上ないくらいです。逆に言えば必要最低限なので精度は低くノイズとかの影響があるかもしれません(メーカー製のような安定性は期待できません)。
あとスイッチの配線は色分けされているので、繋いだ先の個所やコネクターの端子位置などの対応を各自書き留めておきましょう。対応表がないとあとで修理する場合やトラブルシューティングで困ります。自分と同様にCBRのスイッチを使う時は上の回路図でいけるハズ。ただし年式によって異なる場合があるので注意。必ずテスタで調べること。
変換回路と配線
左からCBR600RRのスイッチ→変換回路→アフリカツインのスイッチのコネクタへと繋がる。
パーツはあり合わせで作ったのでリレーのMade
in china はガマン。稼動部品はできれば日本製を使いましょう。
線は思いのほか太く、ギューギュー詰めになってしまいました(^^;
回路について 以下は回路図を見ただけでわかる人は読み飛ばしてOKです。
ウインカー・ハザード部
CBRのハザードスイッチ自体は内部でウインカー回路のR・Lをショートさせてあるだけです。あとCBRのウインカースイッチにはポジションランプのキャンセル回路は付いていません。ここでウインカーとハザード動作時にポジションランプをキャンセルする回路を組んでいます。
ホーン・クラッチスイッチ
ホーン用の黒色ケーブルから回路内の+用の電源とポジションランプの電源を取っています。またクラッチスイッチ用の配線は変更なくそのままバイパスしてます。ただしアフリカツインの配線とは色が異なります。
ヘッドランプ切り替え・パッシングスイッチ部
アフリカにはセルモータ作動時にヘッドランプをキャンセルする機能があります。もともとATのヘッドランプは二つで120Wもありハンドルスイッチだけで動作させるのは無理があります。それでハイ・ロー共にリレーを介して供給してます。つまりハンドルのスイッチはこのリレーのコイルを動作できるだけの容量があればいいわけです。コイルの電流を測ってみると115mA程度でした。
回路的にはセルモータ作動→ハイビームの時はまず回路のリレーが停まりロービームになり、既にATの回路でリレーへの電源供給はストップしているので、ヘッドランプのリレーに供給ストップ・・・ヘッドランプが消える
この回路を省くとセルモータが動作してもヘッドランプが消灯しないので、正常にセルモータが回らない可能性もありますしバッテリーが上がりやすくなります。
パッシングスイッチはハイビームのスイッチをバイパスするだけで、スイッチを押している間だけハイビームが点灯するというものです。だからハイビーム中に押しても意味はありません。バッテリーが許せばパッシングスイッチを押し続けている間ハイ・ロー同時点灯も可。
2-5 動作確認
調整とチェック
アフリカに繋いで動作チェックします。問題なく次のように動作したらOK。まずハザードだが、ウインカーリレーが対応していれば4つともウインカーの点滅の時と同じ速さで点滅します。また動作開始時にR・L両方のポジションランプが消灯すれば正しく動作しています。ウインカーの動作時も同じです。
あとウインカーやハザード動作を終了して、ポジションランプが復帰する時間を回路のVRを調整して決めます。自分の場合約1.5秒くらいに調整してます。
ジャンパーピンをONにして、GNDに繋がったもう一つのVRを調整すれば時間をさらに縮めることができます。Cの容量を減らせば動作時間が短くなるので、Cの容量によってはこの回路は要りません。
注意:仕様上ハザード点灯時はウインカーのインジケーターランプはつきません。
ヘッドランプは下向きが常時点灯して、Hiに切り替えるとHiのみ点灯するはずです。パッシングスイッチを押す時は押すアクションに応じて下向きが点灯した状態で上向きがパッシング動作します。パッシング機能は上向きのハイビームのみに作用します。だからハイビームのスイッチ位置ではPASSスイッチを押しても変化はありません。またハイ・ローの中間にスイッチを止めての同時点灯の裏ワザは回路上できません。
ホーンは押している間鳴ればOK
クラッチスイッチのコネクタは正しく繋がっていれば、ギヤが入っている時にクラッチを握らずセルを回そうとしても回らなければOK。また握った状態でかかればOK。
2-6 製作上の注意
回路上の安全対策
リレーを介する段階が増えるので故障が心配です。だから最悪パッシングスイッチを押した状態ならハイビームが使えるように、直接ATのハイビームのリレーにバイパスするようにしてます。
またローはリレーのコイルが動作しない状態でONになるようにしてます。
あと配線接続時に注意したいのが半田の盛り方で鋭利になることがあります。これが使っている時振動などで絶縁チューブを突き破ってショートさせてしまうことがあります。できるだけ鋭利な半田付けは避けましょう。鑢でならしておくのも手です。
はじめはケースをフレームにでも貼り付けようと考えていましたが、スペースがありません。ハンドル操作の邪魔になると困ります。
ハーネステープで防水処理をしてカウル内に吊ってます。被服線自体は太く引張りにも強い上に10本もあるので追加回路分の重さくらいは十分耐えられます。
アフリカツインのメインハーネス自体は全くいじらないので、アフリカツインのスイッチを用意すれば最悪元に戻すことは簡単にできます。
ネックになるのはウインカー・ハザード時のポジションランプの消灯。C・Rの充放電でタイムラグを使った原始的なタイマーを内蔵させて、ウインカーやハザードを焚くとポジションがすぐにOFFになり、逆にウインカーやハザードを消灯すると何秒か遅れてポジションランプが復帰するような構造にしてます。このCRの組み合わせでタイムラグを作るやり方は電子回路の文献なら微分・積分回路の辺りに出てます。詳しい時間設定の数式とかも載っているハズです。自分の場合おおよその数値は分かっているので、これに可変抵抗で調整するようにしてます。
ただこの方法ちょっとした電圧変動や温度変化で設定時間が変わってきます。それとウインカーリレーとの兼ね合いで、ポジションランプの消灯が間に合わず焚き始めにウインカー点灯とポジションランプの点灯がかぶる場合があります。でも今回はそれほどシビアなものではないので、実用上は問題ないと思います。
2-7 ウインカーリレーについて
ハザード対応のウインカーリレー追加
CBR用のウインカーリレーも用意しました。本当は電子リレーを作ってもいいんだけれど、メーカー製の方が安心だしね。
38301-MBW-D21 CBR600RRのウインカーリレー 2268円
左がCBRの
アフリカのリレー(右)は3端子B・L・Eになっており、コイル動作のためなのかマイナス端子(E端子)が付いています。今回仕入れたCBRのリレーは、BとLの2端子でマイナスの端子はありません。ウインカーリレーは電流がフローすることでコイルが動作します。もともとATに付いているウインカーリレーは、23W×2の計46W相当の負荷で正しく毎分85サイクルで動作します。点滅に影響が出るのでこれより負荷を重くすることも軽くすることもできません。よってハザード点灯したりLEDにしたりするにはこのリレーではうまく動作しないことになります。
CBRのリレーはコネクターの切り欠きが若干違いあるものの、コネクタの配線的にそのまま差し替え可能です。
ウインカーリレーのコネクタ(ATのもの)
アフリカの配線を見ると入力のB端子の線は太く1.25sqくらいあります。これならハザード駆動でも大丈夫だと思いますが、出力のL端子の線(灰色)は0.75sqよりも細く、ハザード駆動には電流容量的にちょっと問題がありそうです。
しかし点滅による約1/2デューティー比(オン・オフの比率)の駆動であることと、ハザード駆動はしょっちゅう使うわけでない上に、長時間連続駆動することは稀・・・ということで問題ないであろうと当方は考えてます。ただし細い線のため抵抗になるのか、ウインカー動作に比べ若干暗くなります。
専用のウインカーリレーが入手できない場合(ウインカーリレーを製作する)
電球のW数に影響しないウインカーリレーの制作方法(LEDもドライブできます)

ウインカーリレーを用意できない時は上の第一案にある回路図でRL1とRL2の回路を省くと等価的にウインカーリレーとして使えます。この時は必ずパワートランジタの2SB1016をもっとコレクタ電流容量のあるものに交換してください。
バグフィックス
あとこの方式では負荷によって点滅速度が変わらない分、電球が切れた時に素早く気付くことができないのが難点です。あと負荷の電球をLEDに置き換えた場合、インジケーターランプは正しく動作しなくなります。また逆にこのインジケーターランプのW数によっては、片側のウインカー側に電流が流れ、ハザード点灯してしまうこともあります。これはインジケーターランプはR/Lそれぞれのプラス側をまたいでいるためで、R/Lそれぞれのウインカーランプの電流値(もしくはW数)に対しインジケーターランプの電流値は十分小さいことが前提となっています。
ATは電球のままで特に差し支えないのでウインカーのLED化する予定はありません。よってLED化によるインジケーターランプの影響はここでは無視しています。
他のバイクへも使えるかな?
ちょっとした回路の変更でアフリカツインだけでなくXR250やBAJAなんかにも応用できると思います。確かBAJAもハザードなしでポジションランプ付き車だったと思った。バハはヘッドライトリレーはなくハンドルの集合スイッチから直に繋がっていたと思う。バハに使う場合は上の回路図上のリレーの接点に流せる電流容量が大きいものに交換する必要があります。
ひょっとしてアフリカの集合スイッチってXR250/BAJAと同じものかも。 |